人気番組NHK「幸福学」白熱教室を電子書籍化。「幸福」は心の問題ではない。「コーヒーの買い方」といったちょっとした習慣を変えれば誰でも幸せになれる。

あなたは今、幸せになりたいと願っていますか?

こんなことを言うと、宗教の勧誘かと思われてしまいそうですね。

そう、幸せになる方法は、古来宗教が担当する分野だったのです。

哲学もまた、「幸福とは何か」について、古代からずっと考え続けてきました。


ですが、今は心理学や脳科学が、「どうすれば幸せになれるのか」を解きあかしつつあります。

『「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室』を読めば、科学的に幸福を探求する「幸福学」の知見を得ることができます。

幸福学の教える「幸せのレシピ」は以下の3つです。

・人との交わり

・ここにいること

・親切

良好な人間関係を持ち、マインドフルネスを実践し、親切にふるまえば幸福感が得られるというわけですね。


「じゃあ、友達がいない人は幸せになれないのか」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

幸福学の言う良好な人間関係とは、「コーヒーショップの店員と笑顔で会話すること」程度のものでいいのです。

ちょっと社交的になるだけで幸福感が得られるということですね。

これなら、今とくに仲のいい人がいなくても実行できるわけです。


幸せになるためには、なにも特別なことをする必要はありません。

大きな成功を手に入れたり、大金や名声を得る必要はないのです。

もちろんお金はあるほうが安心ですが、ないから不幸というわけでもありません。

幸福学の権威エド・ディーナー博士は「出身地や収入レベルは関係なく、すべての人が幸せになれる可能性を持っていると思います」と主張しています。

この本によれば、宝くじで高額当選した人ですら、外れた人より並外れて幸せではないそうです。

幸福度はお金に大きく左右されないという幸福学の知見は、私たちに希望をもたらすものではないでしょうか。


小さなことに感謝するのも、幸福になるうえでは大切です。

この本によると、日々小さなことでいいから感謝の気持ちをつづる日記をつけたグループは、普通の日記をつけたグループよりはるかに幸福感が高かったそうです。

この習慣をつけることで、自然といいことに気持ちが向くようになり、ポジティブになっていくのかもしれませんね。

ちょっと訓練は必要ですが、これもだれでも実践できるものです。

幸福になるためのハードルは、全然高くありません。


他人には親切にしましょう、日々感謝の気持ちを忘れずに生きましょう……などなど、幸福学が奨めている行動は、昔から道徳として言われてきたものです。

こうした道徳にはちょっと押しつけがましさや説教臭さを感じてしまうことも、正直あると思います。

でも、結局そのほうが幸せになれるのだとわかれば、実践する気にもなりますよね。

マーク・トウェイン『漫画 人間とは何か?』紹介と感想

人が他人に親切にするのは、結局自己満足のためだ──と、マーク・トウェインは『人間とは何か?』で説きました。

確かにそうかもしれません。事実、幸福学も親切にすることで幸福感が得られる、と指摘しているのです。

ですが、親切にして人に喜ばれ、それで心が満たされるのであれば、それはそれでいいことではないでしょうか。

親切にされた人は親切を受け取れるし、親切にした側は満足を得る。

この構図で不幸になっている人はいません。世の中に親切が増えるという結果こそが、ここでは大事なのではないでしょうか。


幸福学の登場によって、哲学が「幸せとは何か」を考える必要はなくなった、とは私は思いません。

幸福度を上げることが本当の幸せなのか?という問いを立てることもできるし、幸福になりたくて親切にするのはカント的には人を「手段」として扱うことではないのか、と考えることもできます。

こうしたことは、幸福学とは別に考えるべきことです。

幸福学は「具体的に何をすれば幸せになれるか」を追求する学問なので、幸せになるためにする行為の倫理性まで深くは立ち入りません。

幸せになるための実践的ノウハウとして幸福学は推奨できますが、幸せとは何かをもっと深く考えたい、という方には哲学が必要になるかもしれませんね。


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