この手のものは本当は一番新しい巻を読みたいのですが、さすがにサブスクでは無理なようです。
というわけでkindle unlimitedで読める一番新しい巻を読んでみました。
『知らないと恥をかく世界の大問題11』は2020年6月に発売されていますが、第4章では今やすっかり有名になった台湾のIT大臣、オードリー・タンをとりあげています。
コロナウイルスをすばやく抑え込んだことで高く評価されている蔡英文政権ですが、その下でも際立った成果をあげたオードリー・タン。
台湾史上最年少で閣僚になったとき、性別欄に「無」と書き込んだことがこの本では紹介されています。
トランスジェンダーの若き天才を登用できる体制が台湾にはあったということですね。
いっぽう、日本ではIT担当大臣が78歳で、はんこ議連の会長だったことも比較材料として持ち出されます。
優れた人材を柔軟に起用する台湾と年功序列の日本、といった報道が当時なされていたことを思い出します。
そんな台湾ですが、この本を読んで初めて知ったこともあります。
じつは日本は台湾を国家として認めていないのです。
ところでなぜ台湾のトップを「総統」というのでしょうか。これは大統領のことなのですが、「台湾の大統領」というと台湾を独立国家として認めることになります。中国は「台湾は我が領土」という立場ですから、日本のメディアは台湾の呼び名をそのまま「総統」と読んで中国を刺激しないようにしているのです。
『知らないと恥をかく世界の大問題11』p120
台湾では国民党と民進党の対立が続いています。
国民党は親中派ですが、民進党は中国のいう「一国二制度」を拒否する立場で、蔡英文は民進党です。
台湾では中国との経済関係を説読めたほうがいいという声があり、国民党のほうが支持が高かったのですが、香港の民主主義が危機に瀕したため情勢が変わりました。
「一国二制度」を受け入れると台湾も香港のようになってしまうという危機感から、蔡英文の支持率が高くなったのです。
逃亡犯条例改正案の件など、香港に自由の危機が迫っていたことを考えると、台湾が明日は我が身と考えても不思議はありません。
台湾がオードリー・タンのような天才を起用できるのも、背景には中国への危機感もあるのでしょう。
隣国が重大な脅威になっているので、有能な人物を登用し、国力を高めなくてはいけないのです。
日本だって台湾の情勢と無関係ではありえないのに、政府にどうにも危機感が足りていないように思えて仕方がありません。
『知らないと恥をかく世界の大問題11』はkindle unlimitedで読み放題です。