有名人とはプラットフォームである
「有名人とはプラットフォームである」これが勝間和代さんの持論です。
有名人と組むことで、やりたいビジネスが展開できたり、本を出版できたり、自社製品を宣伝できたり……と、誰かの目標やビジョンを達成しやすくなる。
そこに有名人の価値があるのです。
勝間さんの場合は、環境や教育、男女共同参画など、さまざまな社会問題の解決のために有名になりたかったそうです。
有名人なら、これらの問題について発言したときに影響力を持てるからです。
衆人環視の中で生きる覚悟を持てるか
『「有名人になる」ということ』では、一章で有名になることのメリットとデメリットを比較したうえで、二章で有名人になるための具体的な5ステップを紹介しています。
この順番になっているのは、まず「そもそも有名になる覚悟はあるか」を考える必要があるからです。
勝間さんによれば、有名人になることの金銭的メリットは収支トントンか、ややマイナスなくらいなのです。
文化人枠だとテレビに出てもそんなに収入は増えませんし、目立たないように美容室で個室を頼んだり、グリーン車に乗ったりしなくてはいけないので、出費が増えてしまうのです。
さらに、見知らぬ人から叩かれるのが日常になります。勝間さんの言葉では「衆人環視の状況で生きることになる」のです。
これを受け入れられないのなら、有名人はめざさないほうがいいでしょうね。
有名人になる一番のメリットとは?
こうしたデメリットを受け入れてでも有名になる意味とは何なのでしょうか。
勝間さんによれば、それは人脈の広がりによるチャンスの広がりです。
これがなければ、有名人になったメリットはほとんどないとまで勝間さんは言い切っています。
勝間さんは人生の98%は運で決まり、その運とは人間関係のことだと書いていますが、有名人になることで信用が得られ、無名のときには近づくこともできなかったすごい人と繋がれたりするのです。
対談番組でレギュラーをこなすなかで、勝間さんは数多くの経営者の話を聞き、生の情報に触れることで、生きる幸せを感じたといいます。
ロングブレスで有名な美木良介さんから呼吸法を習ったりできるのも、有名人だからです。
さらには有名人であることで発言力がつき、やりたいことが実現しやすくなります。勝間さんの場合は、デフレの処方箋について菅副総理(当時)に進言したところ、数週間後には政府がデフレ宣言を出しました。
2012年には日銀が物価上昇率の目標についても明言しています。政策にまで影響を与えられるのは、有名人ならではです。ここまで世の中を動かせたら、有名人になった甲斐もあるでしょうね。
有名人になれるなら、ほかのことだってできる
この本の2章では有名人になるための具体的な5ステップを紹介していますが、ここはあまり興味が持てませんでした。
私自身が有名になる気がないせいだと思います。
ですが、勝間さんのようなテレビに出るレベルの有名人でもなる方法がある、少なくとも勝間さんがそう考えている、というのは面白いところです。
このレベルで有名になることにくらべれば、たいていの目標は容易なのではないでしょうか。
勝間さんはこの本の「はじめに」で、すべてのチャレンジは確率論だと書いています。
勝率の低い勝負でも、数をこなしていくうちに負ける確率が下がり、いつかは勝てるようになってくるのです。
有名人になるというチャンレンジも、他の勝負と同様、とにかくじゃんけんを続けることが一番大事なのだ、と勝間さんは言います。
勝間さんが多くの経営者や有名タレントにインタビューした結果、すべての人に共通していたのはひたすらじゃんけんを続ける精神だったそうです。
この本で一番大事なことは、実はここかもしれません。
有名人になることに限らず、とにかく勝てるまでじゃんけんを続ける。あたりが出るまでくじを引き続ける。
そうしたチャレンジ精神、しつこさがあれば、有名人になれなくてもべつのチャレンジで成功するのではないでしょうか。
『「有名人になる」ということ』はkindle unlimitedで読み放題対象です。