集団や社会の中の個、対人関係を「心理学」から読み解く1冊です!

この本を読むと、「あれはこういう心理で起こっているのか」と何度もうなづくことになります。

『眠れなくなるほど面白い 図解社会心理学』はタイトル通り社会心理学の入門書で、世の中のさまざまな事象を社会心理学の理論にもとづいて解説しています。

渋谷のハロウィンが暴徒化するわけ、ネットの炎上が加速する理由、偏見が生まれる原因などが、この本を読むことでよくわかります。

都会で人助けが少ないわけ

都会では困っている人がいても見て見ぬふりをされてしまう。これは都会の人が冷たく、他者に無関心だからだ……なんて雑な説明がつくことがあります。

でも、これは本当は社会心理学で説明できるのです。

この本の8ページを読むと、これは「傍観者効果」によって起きる現象なのです。

目の前に倒れている人がいても、目撃者が多いと「もう誰かが報告してるのではないか」と多くの人が考えるため、結果として助ける確率が下がってしまうのです。

これは実際に「傍観者実験」で確かめられていることなのです。

ネット炎上が広がる理由とは?

ウクライナに折り鶴を送ろうとしていた人達が批判されてしまったように、昨今のネット社会はいつも何かで炎上しています。

なぜこのような社会になってしまったのでしょうか。

この本では、ネット炎上に歯止めがかからなくなる理由をいくつかあげています。そのひとつとして、「社会比較説」が紹介されています。

社会比較説とは、他者の多くが自分と同じ意見であることで自分の意見に自信を持ち、その考えがより強化されることです。

ネットでは、自分と同じ意見はすぐに見つかります。その意見が多数派ならどんどん勢いづき、攻撃性が加速してしまうのです。

これに加え、反対意見を無視する「集団的浅慮」も起こってきます。こうした理由が幾つか組み合わさって、ますます炎上が加速していくと考えられるのです。

少数派は沈黙を強いられる

社会心理学には「沈黙の螺旋仮説」もあります。

これは、自分たちを多数派と認識する側はより雄弁になり、少数派と自認する側が社会的孤立を恐れて沈黙する現象です。

ひとは社会的な生き物なので、孤立を恐れます。なるべく少数派にはなりたくありません。

その結果、少数派は自分をアピールせず、ますます少数派になってしまうのです。

この現象もまた、ネット炎上を加速させているとこの本では解説されます。

同調圧力の強い日本では、この傾向はとくに強く出てしまうものかもしれません。

眠れなくなるほどではないけど……

この本で解説されていることには、わりと当たり前のことも少なくありません。

「人は他人からの評価で意見や行動を変える」などは、誰もが経験的に知っていることでしょう。

全体として、目が醒めるような意外な知見がたくさん得られる本というわけではありません。「まあ、そうなるだろうな」という箇所が多いのも確かです。

それでも、普段なんとなく思っていることが心理学的にも裏づけられているのを知るのは面白いものです。

眠れなくなるほど面白いとは言いませんが、読めばそれなりに収穫のある一冊ではないでしょうか。


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