ゲームを愛する佐藤和真は女神を道連れに異世界転生。大冒険が始まる……と思いきや、衣食住を得るための労働が始まる。「安定」を手にしたい和真だが、女神が次々問題を起こし、ついには魔王軍に目をつけられ!?

今でも楽しく読める異世界転生もの

もともと小説家になろうで連載されていた「このすば」こと『この素晴らしい世界に祝福を!』。

異世界転生ものはちょっと敬遠していたのですが、この作品はいざ読んでみるとめちゃくちゃ面白くてすっかりはまってしまいました。

1巻の発売は2013年なのでちょっと古いですが、今でも十分楽しめる作品だと思います。

全編コメディなので読む人は選ぶかもしれませんが、世界観はファンタジーRPGに近いのですぐに入りこめるし、文章もシンプルでするする読める、ラノベのお手本みたいな小説です。

引きこもりですが意外と頭の切れる主人公と、ちょっとおバカなパーティーメンバーが繰り広げる異世界珍道中が肌に合うなら、間違いなく楽しめる作品ではないでしょうか。

ポンコツなパーティーメンバーとの掛け合いが楽しい

本作の主人公カズマは、異世界転生特典としてなんと女神のアクアを連れていくことを決めます。

この時点ですでにだいぶ面白いですが、このアクアがとにかくポンコツなのです。

女神のくせに頭が悪く、ギルドの受付嬢に「知力が平均より低い」と言われてしまうし、スキルポイントをなぜか宴会芸につぎ込んでしまうわけのわからなさ。

異世界では能力の高さを生かしてアークプリーストの職に就きますが、魔物討伐にいけばジャイアントトードに呑まれたりして、ほとんど役に立ちません。

本当に女神なのかと疑うほどの使えなさですが、水の女神なので洪水を生み出したり、水の中で呼吸できる能力はあり、一応役に立つ場面もあります。

でもこのすばはコメディなので、アクアは役に立つより邪魔になる場面のほうが圧倒的に多く、大体いつもカズマは迷惑をかけられています。このバカバカしさが最高に笑えます。


爆裂魔法を習得しているめぐみんもアクアと同レベルにポンコツです。めぐみんはアークウィザードで魔力自体は高いのですが、1回強烈な魔法を打つと疲れて動けなくなってしまうというピーキーな性能の持ち主で、能力が高いわりに使えません。

めぐみんは名前だけは知っていましたが、あだ名なのかと思っていたらこれが本当の名前でした。めぐみんは紅魔族で、この一族は皆変な名前ばかりつけているのです。

あまり使えないうえに重度の中二病という困った13歳ですが、最終章のデュラハンとの戦いではなかなかの活躍ぶりを見せます。

もっとも、それもカズマのサポートあってのことなのですが。


3人目の仲間、ダクネスは一見ストイックな女騎士にみえますが、やっぱり問題児です。

彼女は防御スキルをたくさん習得していて、パーティーの盾になってくれる頼りがいのある仲間……にみえますが、実は重度のマゾなのです。

敵の攻撃を受けるのが快感なうえ、不器用なので攻撃はほとんど当たらないというバランスの悪い能力の持ち主。

このように、カズマのパーティーは性格や能力に難のあるメンバーばかりなのです。

これらの仲間たちとの軽妙なやり取りがおもしろく、またこの難ありのメンバーをカズマがどう使いこなしていくかという戦術面でも楽しめるのが「このすば」の魅力です。

意外と頭の切れる主人公カズマ

このようにポンコツな仲間ばかり連れ歩いているカズマですが、意外にも有能なのです。

カズマ自身は冒険者という最弱職についていて、水を生み出したり凍らせたりという簡単な魔法しか使えません。

特殊技能も敵の持ち物を盗む「スティール」など、それほど大した技は持っていません。

ですが、カズマはこれらの技を組み合わせて案外巧みに戦うのです。

カズマはギルドの受付嬢にも「知力が平均より少し高い」と言われているとおり、ちょっとした戦術家なので、アクアやめぐみんのような問題のあるパーティーメンバーを結構うまく使い、戦いを勝利に導くこともあります。

仲間は皆カズマよりずっとレベルが高いのに、カズマがリーダーなのはこれが理由です。

ちなみに、スティールを使う時はカズマ特有の運の良さが効果を発揮し、相手が美少女だとある大事な物を盗んでしまえます。

これが何なのかは、ぜひ読んで確かめてみてください。こういうおバカなノリが楽しめるのもこのすばの魅力です。

気軽に読める小説って大事

私はkindle unlimitedでは新書や歴史・東洋思想など、わりと硬い本を読んでいることが多いです。

でも『この素晴らしい世界に祝福を!』を読んでいて、気晴らしのための読書も大事だと思いました。

知識を増やしたり、自分を高めるためだけが読書の目的ではありません。このすばのようなラノベも読めば笑えるし、あまり物事深刻に考えてもしょうがないかな、と気分転換できるという立派な効用があります。

その意味では、純粋な娯楽作品も人生には必要だといえるでしょうね。

コロナの自粛期間、家にひきこもっている間に小説もマンガも読まない、映画も一切観ない生活をしたらかなり苦痛だったはずです。

まぁ、わざわざそんなことを考えなくても、このすばは面白いので多くの方に読んでほしい作品です。


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