自分の心を見つめ、怒りの正体に気付き、怒りをいなしてストレスをためない方法などを、テレビでもおなじみの精神科医・名越康文氏が詳説。大ヒット単行本『自分を支える心の技法』に大幅加筆をした完全版です。

これは精神科医の名越康文さんが心のコントロール方法を説くものですが、この本で一番コントロールするべきものとされているのが「怒り」です。

怒りは道徳的によくないうえ、表出した時点で人生の質が低下してしまいます。にもかかわらず、名越さんにいわせれば日本人は怒りに甘く、称賛することすらあります。

この本では名越さんならではの独自の怒りのコントロール方法が書いてあるので、うまく日常に取り入れられれば確実に日々がすごしやすくなると思います。

人はなぜ怒るのか?

そもそも、人はどうして怒るのでしょうか。この本の二章によれば、それは「他者をコントロールするため」です。

赤ん坊の時、人は泣き叫ぶことで相手を動かすことを学びます。

このため名越さんは、「僕たちのコミュニケーションの基礎にあるものが、実はかなり反社会的」だといいます。

怒りで不快を除去するやり方を、人は大人になっても続けます。そして、怒りとは最も大切な人に向けられることが多いものです。だからこそ、なるべく怒らないよう自分を訓練する必要があるのです。

人間は哺乳類の中でもとりわけ子育て期間が長く、それだけ愛情欲求にとらわれやすい生き物です。愛情が不足していると感じると人は怒りを感じます。人という種は愛情欲求が過剰であると気づくことが、怒りを克服する第一歩になります。

日本人は「乖離的な怒り」に甘い

この本では「日本人は怒りに甘い」と書かれていますが、正確には「乖離的な怒りに甘い」ということです。

「乖離的な怒り」とは、この本では「文脈なく怒る」ということです。有名な例として著者があげているのはゴジラです。怪獣の無差別な暴れっぷりが日本人は好きなようです。

無差別に祟りをふりまく菅原道真や平将門などもそうですし、ジェイソンも日本人に好まれるキャラクターです。

国会でも頻繁にヤジが飛んでいる場面を見ても、やはり日本人は怒りに甘いと思わされます。ですが、怒りは人生を台無しにしてしまうリスクの高いものです。仕事のパフォーマンスも下げますし、怒っていいことが何もありません。

怒りに甘い日本社会だけに、怒りをコントロールするすべを身につけられた人は頭一つ抜けられるかもしれませんね。

性格分類で怒りをやわらげられる?

では、怒りはどうすればコントロールできるでしょうか。

仏教を「東洋の心理学」と高評価する名越さんだけに、この本では怒りを消すメソッドとして瞑想が紹介されています。これがい一番いいやり方だそうです。

といっても瞑想に時間をとれる人ばかりではありませんし、あまり集中力のない人には難しいメソッドでもあります。

そこで名越さんが奨めるのが性格分類です。性格分類を学ぶことで、人間には様々なタイプがいること、自分がどんな色眼鏡をかけているかがわかるというのです。

性格分類を学ぶと、実は自分が少数派だと気づきます。これは怒って当然だろう、と思うことでも、タイプが違えば怒らないのです。

自分のものの見方が絶対でないと知ることで、他人に対して謙虚になれる効果があるのです。


性格分類にもいろいろありますが、この本では人を10種類のタイプに分ける「名越式性格分類法」も紹介されています。

頭脳・感情・行動・闘争・集中のそれぞれに陰陽を加えたタイプ分けはなかなか面白いですが、この分類法では私はどれに当てはまるのかがわかりませんでした。

こうした性格分類法は大ざっぱに人を分類するためのものなので、これが自分だ!としっくりあてはまるものは必ずしも見つからないのかもしれませんね。

この本ではあくまで自分が少数派であることを知り、謙虚になるために性格分類法を勧めているわけなので、性格分類の中身にそれほど深入りしなくてもいいかと思います。

名越さんによれば、「100回に1回でも怒りを消せれば運気が変わる」そうです。怒りが消すことのできるものだと感じられると、怒る場面が減り、毎日気持ちよく過ごせるようになるからです。

この本には怒りを消す方法として木に抱き着く、念仏を唱えるなどほかのメソッドも紹介されているので、実践してみるとひとつくらいは合うものが見つかると思います。

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