自尊心を根底から高めてくれる本
これは自尊心を高めるのにとても役立つ本です。この本が自尊心に焦点を当てているのは、自尊心は職業選択や成功・人間関係・心の平和など、人生のあらゆる局面に影響を与えるからです。ついSNSで自分と他人の成功している姿を比較してしまい、なにかと自尊心が目減りしてしまいがちな現代においてこそ、読む価値のある一冊と思います。
自尊心を高めるためのラディカルな考え方
「人と比較しない」「自分の感情に責任を持つ」など、この本で紹介されている考え方は基本的に穏当で、まっとうなものです。さらさらと流して読んでいると、他の自己啓発書や心理本とあまり変わらないな……という印象になるかもしれません。
ですがこの本は自尊心を高めるため、意外と過激とは言わないまでも、常識とは異なる考え方も紹介しています。たとえば46番目の考え方「自分の考えを受け入れる」では、「あなたの考えはすべて正当なのだ」とまで言っています。その人の個性に固有の人生経験や環境などが加わり、さまざまな考えが浮かんでくるのだから、たとえひどい考えが浮かぼうと否定しなくていい、というのです。
とはいっても、どんなひどい考えでも実行していいという話ではありません。この考え方の主眼は、自分で自分を受け入れることです。たとえ心の中で正しくない考えが浮かんでも、それも自分の一部です。何かしら理由があってそのような考えが出てくるのだから、そこで自分を責める必要はないということです。これもまた、自尊心を高めるうえで大事な考え方といえるでしょう。醜い考えが浮かんでも、自分を許すことが大事なのです。
人は存在そのものに価値がある
この本の39番目の考え方は「自分の存在そのものに価値があると信じる」です。「生きてるだけで価値がある」という言葉は綺麗ごとに聞こえるかもしれません。この本を読むまでは、私もそう思っていました。ですが、人の価値が能力や所有物・社会的地位などによって決まるとしたら、それらを失ったら価値がないことになってしまいます。これは、先天的疾患や障害を持つ方への差別にもつながる考え方です。
そこまでいかないとしても、人の価値が収入や地位によって決まるという考え方は、自分がそれらを持っているときは持たない人への見下しに、持っていないときは自虐につながります。競争に勝ったことで人を評価する考え方は、著しく自尊心を損ねるものです。それよりもこの本の36番目の考え方「勝っても負けても、自分はつねに価値のある人間」を採用すれば、自尊心のために必死に競争せずにすみます。
引き寄せの法則との不思議な共通点
この本はスピリチュアル系の本ではありませんが、内容には引き寄せの法則と共通する部分があるように思います。引き寄せの法則とは簡単に言えば「類は友を呼ぶ」ですが、この本の87番目の考え方「幸せ指数を高める」では「幸せを感じる理由をたくさん見つける」ことをすすめています。引き寄せという言葉は使われていませんが、これは幸せを引き寄せるための基本です。今幸せを感じている人が、より多くの幸せを引き寄せるのです。
「本当に楽しいと思うことをもっとする」も同じことです。今楽しさを感じていれば、もっと楽しい出来事が引き寄せられています。幸せという感情は自分でつくりだすもの、というのがこの87番目の考え方で著者が訴えたいことです。その気になれば人は今ここで幸せになれるのであり、幸せになるためになんらかの目標を達成しなければいけないわけではありません。
もちろん、長期的な目標を立てることは人生を豊かにしますし、それもこの本で推奨されていることでもあります。ですが、目標を達成できるかどうかと自分の価値は無関係です。この考え方がベースにあってこそ、より積極的に目標にチャレンジできるのではないでしょうか。将来を考えることは大事ですが、将来のために大切な今を犠牲にする必要はありません。むしろ今幸せであることでより幸せな将来が訪れるというのが引き寄せの法則や、この本の説くところなのです。
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